本格的にルアーメーカーとして活動して11年目となりますが、まだまだ発見が多くてフィールドでも心が弛むことはなく、ルアーを投げれば落ち込む事も多く、んーっと首傾げてロッドを変えたり、ラインを変えたりルアーが良くないのか?セッティングのせいなのか?訳がわからなくなったり、そういう日もあれば女神が降臨したような日もあり、浮き足だって、帰りに蓮根畑にダイブしたこともありました。後日地主さんに謝罪をしにいった事もまだ記憶に新しいです。

現在では手軽に情報を得られるインスタグラムやFacebook、私はインスタグラムをやらせていただいておりますが、伝えきれない事もあり、こちらのブログでは一つまた弊社ルアーをご愛用されている方向けに、もう少し深いお話をこれからさせていただきたいと思っております。特に今まで発売してきたルアーの事、これは数年経過しても必ず書き記していきたいと思っていたので、お時間許す時にこちらのブログも是非ご覧いただければ幸いです。

本当は順番に時間経過と共に説明するのが良いのかもしれませんが、スローテーパーさんの別注もお受けさせていただきました事もあり、今年本当に頼れる存在のルアーとして気がついたことが多かった「パスートポップ」について、今日はご説明させていただきたいと思います。

弊社でスプラットという小さな縁の下の力持ち的な存在のポッパーがあるのですが、そのルアーのサイズアップでフック位置、ウェイト位置の見直しからサンプル製作に取り掛かった事を思い出します。

よりタイトに点で誘う、スプラットとは対極のルアーにしたかったのがきっかけで、日中釣りをする事が多いので、正午近くになるとシェードの少ないフィールドでは数十センチしかバスの隠れ家になるような日陰も少なくない状況でスプラットだとそもそもコンセプトが違うのでテール重心のリアフックとなるとどうしてもアシの根に引っかかることもありました。

そこでリザーバーに行く事も多かった時期もあり、岩盤やがれ場でルアーの耐久性も気になりはじめたこともあり、思いきってテールを太く、リベットを入れて魚に近づいていくための道具として特化させました。

アクションとしてはスプラットのいとこ分だけあって問題はないのですが、今だからこそ話が出来るのですが周りからはシルエットが不評でしたね(笑)

どうしても僕たちは見た目のカッコ良さ、かわいさに赴きを感じて手に取りたくなるので、致し方ないのかな…って。

正直、僕もそこが好きでバスのトップウォーターゲームにハマってしまったのも一つの要因ですしね。

だけど僕は製作者なんで、釣り道具として作ったものとしてシルエットが格好が悪いと思ったことがなくて、むしろ最高の機能美も備えたポッパー出来たぜ…って今でも勘違いしてます。

この魚は、雨の降る河川、前日にバラしたショックが脳から離れない状態を引きずっていたのでフックをトリプルに変えました。

大きなポップ音の後に、ガバッと出たパスートポップで釣った中で一番良いコンディションの魚でした。

これ以来あまりこのような魚に出会う事は少なくなっている気がします。

僕の中ではもう完結していたルアーですが、反応が3時間も5時間も無くなると、ついついテストをやめて、またパスートポップに変える事もしばしば。

ある日ふと思い出したように、シルエットか…  不評だったよな…って人間は嫌なことって忘れるんじゃなくて、蓋をする生き物だと気がついて、手に取れば蓋が開けられるように妙な気分になりました。

シルエットが悪い?って思われる原因は自分でもこうすればね…っいうのはあったと思うのですが、理由も無しに取ってつけたような事は、完成したものに対してしたくなくて、また時が経ちました。

何気なく気持ちのリフレッシュもあり雷魚タックルを整理していると、ラビットファーが当たり前のようについてるフロッグが目に付き、そういえば8年から10年前かなぁあの時ラビットファーをフロッグにつけたのは、ラッティーツイスターの高井さんが初めてだった気がします。身近な先輩だったので釣り場で見れば、かわいいフロッグだなぁとただただそれだけ感じましたね。

この話は以前もしたと思いますね。

 

数年前、高井さんと釣りをさせていただく機会があり、どう考えてもフロッグの方に反応が良い日があって、マテリアルの違いで柔らかい音や水がらみで好んで食べているのが要因だと思いました。

それは今でも思っていて、それにプラスアルファの要素、ラビットファーを全く無視してましたね。

その時はブレードでも好反応でマテリアルとサイズのみに目が向いてました。

それからまた時が経過し、魚の反応が異常に悪い年がありました。

どうしたものか…

あきらかにスレが始まってる、そう感じたのは時折釣れる魚の傷の多さでしたね。

でも隣で何気なくラビットファーの着いたバップを楽しく投げる友人。何度もバイトがあるんですよね。しかも僕たちのプラグではでない魚であろう感じで。

すっーと来てパクッとくわえてすーっと水中へと帰っていく。

これは何だろう?またマテリアルの違い?

そう思えなかったので、そこでラビットファーか??と考えました。

どうせなら好反応だったバップに近いものにつけたい、そして僕も真似して釣りたい 笑

ルアービルダーとしてプラグで釣りたいって思うのが性分で、そこで「ラビットテールパスート」を作りました。

 

これでまたフロッグとの素材の違いとで反応が互いに比較できるのでフィールドに出る楽しみが増えました。

きっかけは、魚の反応の仕方を見たかったという僕と友人の興味から始まりました。

パスートポップが自信を持って釣れるプラグと自分でも思っているので、ラビットテールをつけたから釣れても、いまいち納得がいかない日が続いてました。

でも釣りを続けていくと面白いもので、少しだけ差を感じはじめるんです。

それは河川で水門が開いた時に自然とドリフトしたルアーにバイトした時、これは毛のおかげだな…って冗談半分で自分に言い聞かせてました。

しかし続けて違う日には、ルアー自体が全く動いていない、波紋も消えてる、そんな状況に水面が爆発するようなバイト。

こうなると試してみたくなるもので、ロングポーズを取る事がだんだんと苦じゃなくなってきて数回同じ経験をする事ができました。

まだ半信半疑の中、高井さんに相談してみました。実際ラビットファーって効果的ですか?って、初めて見たときから何年経って真剣に質問してるんだよって、言いたくなりますが、帰って来た返事は、「やっぱりポーズ中の僕らのロッドアクションでは強い動きで、ポーズ中にしか出ない艶かしテールの揺らめきは効果的だと思うけどなぁ」って100%の正解は無いのが釣りの面白いところで、その中でも意見が一致した事にまた製作意欲が増しました。

この後色々なルアーにつけましたね 笑

その中でもやっぱりパスートポップというところに行きつき、周りの先輩達の問題だったシルエットですが(笑) おお、かっこいいねって、ようやく言ってくれた事で数年傷ついた心が少し癒えた気がします。(笑)

テストでボロボロになってしまったパスート。 きっかけを作ってくれたバップ。

実際、パッと削ってすぐつれて、何匹も問題もなくフッキングも出来てリリースまで早かった物もあります。

ただラビットテールパスートの時は違っていて、現場で検証を何度もして、比較したものは少なくて、これだよ要因は…と確信に近いものを経たのは本当に少ないです。

先日も遠征してくれた長年のお客様と釣りに行った時、すでにラビットテールパスートはリリースされていて、反応が悪い湖でなんとか魚に近いところまで行かないかと、このルアーを結びました。

全てロングポーズで結果的に3本釣れて、早めのアクションを試してバイトはあっても少なかったり、ショートバイトで乗り切らない。

やはりこれが一つの正解だったのかなぁと今も感じてたり、別に違うルアーもゆっくり動かしてたら釣れたんじゃないか??って何度も疑いをかけたりもします。正解はないけれど勘違いでも納得して釣るというのは気持ちがいいものです。笑

今年、スローテーパーの林さんと久しぶりに何度か釣りに行かせていただきました。

旅の思い出は話すともっと長くなってしまうので割愛させていただきます。

これも5年以上前のお話になりますが、林さんが毛とかラバーに異常に興奮するバスはいるっておっしゃられていて、失礼な話、僕自身はその時そんなに気にしていなかったのですが、今になってようやく身にしみて感じられたっていうのもあります。

旅先では強烈な魚が林さんの操るラビットテールパスートに喰いついたのは鮮明に覚えてますね。

スローテーパーさんの周年記念にこの2色で塗らせていただき本当に光栄です。

合わせておめでとうございます。

冬のトップウォーターゲームやDVD、この業界でも築いてきたものが多い先輩です。この先、トップウォーターゲームで大きく変わる事ってないのかもしれませんが、先人の本にも書いてあった永遠の矛盾、ゲームフィッシングのキャッチアンドリリースですが、フィールドと魚に対して個人個人で長く続ける事ができるように考えるだけでも価値ある事ですね。

魚には申し訳ないですが…ゲームフィッシングは学ぶ事が多いですね、だからやめられないんでしょうね。

 

次回はロンバスについてお話させていただきたいです。

長文お付き合いありがとうございました。